「喜劇の名匠」と呼ばれる山田が監督した恋愛物語は多くない。だが、世間に送りだした恋物語は名作ぞろい。一番知られているのは「健さん」こと高倉健と「寅次郎の妹」こと倍賞千恵子が共演した『幸福の黄色いハンカチ』と『遥かなる山の呼び声』である。
一貫して自身オリジナルの脚本を書いてきた山田は、一変して、アメリカの作家、ピート・ハミルの小説『Tie a Yellow Ribbon』を『幸福の黄色いハンカチ』として映画化。『遥かなる山の呼び声』もジョージ・スティーブンスの『シェーン』が原作。いずれも主に北海道で撮影し、西部劇の雰囲気たっぷりの映画である。観衆にとって、この2編は感動的かつロマンチックな作品、山田にとっては作品の芸術性を高めたさらなる飛躍となった作品。

 
幸福の黄色いハンカチ
1977/日本Japan/108min/In Japanese with English subtitle日語對白,英文字幕
出演:高倉健、倍賞千惠子、武田鐵矢、桃井薰
Cast: Takakura Ken, Baisho Chieko, Takeda Tetsuya, Momoi Kaori
日本電影學院獎最佳影片、導演、男主角、男配角
1977年電影旬報十大電影第一位
日本アカデミー賞 作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞
1977年キネマ旬報ベストテン第1位
Best Film, Best Director, Best Actor and Best Supporting Actor by Japan Academy Award
No. 1 of the Ten Best Films of the Year 1977, by Kinema Junpo Magazine

車で北海道旅行に出た欽也は、偶然出会った朱実をナンパ。2人は旅の途中で、刑務所帰りの勇作と出会う…。じつは勇作は妻の住む夕張へ帰ろうとしていた。もし女房がまだ待っていてくれるのなら、家の前に黄色いハンカチがぶら下げてあるという…。
山田監督の代表作の1つで、この年の映画賞を総ナメにしたロード・ムービーの傑作。無数の黄色いハンカチがはためく感動シーンは、日本映画史上に残る名シーンの1つ。勇作を演じた高倉健と、欽也を演じた武田鉄也の、対照的ながらも味わい深い演技も見どころ。

5/8 (Fri) / 9:40pm / bc
13/8 (Fri) / 2:30pm / bc


 
遙かなる山の呼び声
1980/日本Japan/124min/In Japanese with English subtitle日語對白,英文字幕
出演:高倉健、倍賞千惠子、吉岡秀隆
Cast: Takakura Ken, Baisho Chieko, Yoshioka Hidetaka

北海道の根釧原野の酪農の町、中標津。牧場に暮らす母と子の前に、一人の男が現れる。男は今は亡き夫に代わるかのように、妻の心に愛の灯をともし、少年には男のたくましさと優しさを教えて去って行く。「シェ-ン」をもとにした、「幸福の黄色いハンカチ」に続く、高倉健、倍賞千恵子と組んだ愛の物語。

6/8 (Sat) / 2:30pm / bc
12/8 (Fri) / 9:40pm / bc