公開:1969~1995年
シリーズ:計48編
山田作品の代名詞ともいえるシリーズ。渥美清演じるテキ屋をいとなむ中年男「寅次郎」が日本全国を渡り歩く旅先のエピソード。家庭内の出来事や恋愛模様を描いた。
シリーズのパターンは一貫している。家に帰るのは数えるほどしかなく、一年中日本各地を旅する寅次郎。ときどき家に帰ってもいつも家族と喧嘩する。でも、すぐまた仲良くなる――。
寅次郎は、旅先や実家のある柴又(東京都葛飾区)で出会うマドンナ(毎回、有名女優がゲスト出演)にひとめ惚れ。マドンナも寅次郎に対して好意を抱くが、それは多くの場合恋愛感情ではなく最後にはマドンナの恋人が現れてふられてしまうという結末。落ち込んだ寅次郎は再びテキ屋稼業の旅に出て行くという「つらい」ストーリー。
渥美清の演技は「ハッピーエード」とは決していえないストーリーであるにもかかわらず、素晴らしく観客をガンガン笑わせてしまう。また一方で彼の家族および「マドンナ」との絆は観客を深く感動させる。シリーズが公開されてから、寅次郎は日本人の一番好きなキャラクターとなり「寅さん」と親しみを込め称されている。
寅さんはいつも違う旅先に行き、違うマドンナと出会う。そして例のごとく「つらい」結末をむかえるのだが、浅丘ルリ子が演じた「リリー」はシリーズ中4回登場し、寅次郎にみずから恋愛感情を表した。HKJFFではこの浅丘ルリ子がゲスト主演した3編を放映。「寅さん」の自由自在かつ暖かさ、リリーの魅力を存分味わえると思う。

 
男はつらいよ 寅次郎相合い傘
1975/日本Japan/91min/In Japanese with Chinese & English subtitle日語對白,中英文字幕
出演:渥美清、倍賞千惠子、淺丘瑠璃子、船越英二
Cast: Atsumi Kiyoshi, Baisho Chieko, Asaoka Ruriko, Funakoshi Eiji

最高傑作の誉れ高いシリーズの第15作。第11作《寅次郎忘れな草》に続いて浅丘ルリ子が相手役。寅さんは函館でかつて思いを寄せたリリーとばったり再会。彼女は鮨屋の亭主と離婚し、もとの歌手に戻って、全国のキャバレーを廻っていたのだ。何度かケンかと仲直りを繰り返す二人は結局東京へ戻り、「とらや」の面々は二人の結婚を画策するが、やはり堅気にはなれない運命だった。浅丘はキネマ旬報主演女優賞に。

7/8 (Sun) / 2:00pm / bc
8/8 (Mon) / 9:40pm / bc


 
男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花
1980/日本Japan/104min/ In Japanese with Chinese & English subtitle日語對白,中英文字幕
出演:渥美清、倍賞千惠子、淺丘瑠璃子
Cast: Atsumi Kiyoshi, Baisho Chieko, Asaoka Ruriko

シリーズ第25作。旅回り歌手リリーから「沖縄で入院中、死ぬ前にひと目寅さんに逢いたい」との便りが届き、寅さんは急ぎ沖縄へ。五年振りの再会に、リリーの大きな瞳は涙でいっぱい、そして彼女の病状も寅次郎の献身的な看護で快方に向かい、二人は夫婦気取りの生活を始めるが……。浅丘ルリ子が3度目のマドンナ役を演じる。寅さんの恋愛~結婚についての本音がよく表れた好編。山田監督自身、「最も気に入っているもののひとつ」と言っており、97年に取り下ろしシーンを加えた「特別篇」が公開された。

7/8 (Sun) / 3:45pm / bc
9/9 (Tue) / 9:40pm / bc


 

男はつらいよ 寅次郎紅の花

1995/日本Japan/107min/In Japanese with English subtitle日語對白,英文字幕
出演:渥美清、倍賞千惠子、淺丘瑠璃子、吉岡秀隆
Cast: Atsumi Kiyoshi, Baisho Chieko, Asaoka Ruriko, Yoshioka Hidetaka

浅丘ルリ子が四度目のリリーを演じるシリーズの第48作。寅次郎はみんなの心配をよそに、神戸で震災後のボランティアをしていた。一方、寅の甥・満男は以前から好きだった泉の花嫁行列をメチャクチャにした。この後、彼は旅に出た奄美大島でリリーと一緒の寅に会う。本作公開後の1996年8月4日、渥美清がこの世を去り、これが最後の「男はつらいよ」となってしまった。

7/8 (Sun) / 5:35pm / bc
10/8 (Wed) / 9:40pm / bc